手軽で経済的なオーラルケアとして知られる重曹うがいは、口臭予防や虫歯予防などの効果が期待される一方で、いくつかのデメリットや潜在的な副作用、リスクも存在します。これらの点を理解せずに安易に始めてしまうと、思わぬトラブルに見舞われる可能性もあるため、注意が必要です。まず、最も懸念されるデメリットの一つが、歯のエナメル質への影響です。重曹には穏やかな研磨作用がありますが、これが過度になると、歯の表面を保護しているエナメル質を削り取ってしまう可能性があります。エナメル質が摩耗すると、歯がしみやすくなる知覚過敏を引き起こしたり、エナメル質の下にある黄色い象牙質が透けて見え、かえって歯が黄ばんで見えるようになったりすることがあります。また、エナメル質が薄くなることで、虫歯になりやすい状態を招く恐れも指摘されています。次に、口腔粘膜への刺激です。特に高濃度の重曹水でうがいをしたり、頻繁にうがいをしすぎたりすると、口の中の粘膜がヒリヒリしたり、ただれたりすることがあります。また、もともと口内炎や傷がある場合は、症状を悪化させる可能性があるので使用を避けるべきです。さらに、重曹はナトリウム化合物の一種であるため、塩分摂取を制限されている方、例えば高血圧や腎臓病などの持病がある方は注意が必要です。うがいの際に誤って飲み込んでしまうと、意図せずナトリウムを過剰に摂取してしまうリスクがあります。少量であれば大きな問題にはなりにくいですが、日常的に行う場合は医師に相談することが推奨されます。また、重曹うがいは口腔内のpHバランスをアルカリ性に傾けますが、これが長期間にわたって過度になると、口腔内の常在菌のバランスを崩してしまう可能性も考えられます。口腔内には良い菌も悪い菌も存在し、それらがバランスを保つことで健康な状態が維持されています。このバランスが崩れると、かえって特定の細菌が異常繁殖しやすくなることもあり得ます。その他、重曹独特のしょっぱさや風味が苦手で、うがいが苦痛に感じる人もいるでしょう。これは直接的な副作用ではありませんが、継続を難しくする要因の一つです。これらのデメリットやリスクを考慮すると、重曹うがいは万能なケア方法ではなく、あくまで補助的なものと捉えるべきです。