食いしばりや歯ぎしりの治療法として注目されるボトックス注射ですが、実は治療の副次的な効果として「エラの張りが改善され、小顔に見える」という美容効果も期待できることをご存知でしょうか。食いしばりの癖が強い人は、物を噛むときに使う咬筋(こうきん)という筋肉が過剰に発達し、エラが張って顔が大きく見えたり、ホームベース型の輪郭になったりすることがあります。ボトックス注射は、この発達しすぎた咬筋の働きを弱めることで、筋肉のボリュームを減少させ、結果としてエラの張りをスッキリさせる効果があるのです。メカニズムとしては、ボトックス(ボツリヌストキシン)が神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を抑制し、筋肉の収縮を弱めます。咬筋にボトックスを注射すると、咬筋の過度な緊張が緩和され、日常的な食いしばりの力が軽減されます。これにより、咬筋への負荷が減り、使われなくなった筋肉が徐々に萎縮(小さくなること)していきます。これを「廃用性萎縮」と呼びます。この咬筋の萎縮によって、エラの角張った部分がシャープになり、フェイスラインがすっきりとし、小顔効果が得られるというわけです。ただし、ボトックスによる小顔効果は、あくまで「筋肉の張り」が原因でエラが張っている場合に有効です。骨格そのものが原因でエラが張っている場合には、ボトックス注射で骨の形を変えることはできないため、効果は限定的です。ご自身のエラの張りが筋肉によるものなのか、骨格によるものなのかは、医師の診察によって判断してもらう必要があります。食いしばり治療を目的としてボトックス注射を受けた結果、エラの張りも改善され、見た目の印象が変わったというケースは少なくありません。これは、治療の主目的である食いしばりの軽減に加えて、美容的なメリットも享受できるという点で、患者さんにとっては嬉しい効果と言えるでしょう。効果が現れるタイミングは、食いしばりの力の軽減と同様に、注射後数週間から1ヶ月程度で徐々にエラの張りが小さくなっていくのを感じ始めることが多いようです。そして、効果の持続期間も3ヶ月から6ヶ月程度とされています。
ボトックスでエラ張りも改善?食いしばり治療の美容効果