毎日欠かさず行う歯磨き。健康な歯を保つために非常に大切な習慣ですが、「頑張って磨こう」という気持ちが強すぎると、かえって歯や歯ぐきを傷つけてしまうことがあるのをご存知でしょうか。特に「歯磨き やりすぎ」は、多くの方が無意識のうちに行ってしまっている可能性があり、注意が必要です。歯を強く磨けば汚れがよく落ちる、と思われがちですが、これは大きな誤解です。歯の表面を覆うエナメル質は体の中で最も硬い組織ですが、強い力や研磨剤入りの歯磨き粉でゴシゴシと磨きすぎると、少しずつ削れて薄くなってしまいます。エナメル質が失われると、その下にある象牙質が露出しやすくなり、冷たいものがしみたり(知覚過敏)、虫歯になりやすくなったりといったトラブルを引き起こす可能性があります。また、歯ぐきも非常にデリケートな組織です。強いブラッシング圧は歯ぐきを傷つけ、炎症を起こさせたり、退縮させたりする原因となります。歯ぐきが下がると、歯の根元が露出し、見た目が悪くなるだけでなく、知覚過敏が悪化したり、歯周病のリスクが高まったりします。一度退縮した歯ぐきは、自然には元に戻りにくいのが現状です。さらに、歯ブラシの毛先が開いた状態で使い続けたり、硬すぎる歯ブラシを選んだりすることも、「やりすぎ」によるダメージを加速させます。歯ブラシは力を入れなくても、毛先が歯と歯ぐきの境目や歯間にきちんと届けば、汚れを効果的に落とすことができます。自分の歯磨きが「やりすぎ」になっていないかチェックするサインとしては、歯ブラシの毛先がすぐに開く、歯ぐきから出血しやすい、冷たいものがしみるようになった、歯の根元が見えてきた、などが挙げられます。もしこれらのサインに心当たりがある場合は、歯磨きの方法を見直す時期かもしれません。健康な歯と歯ぐきを維持するためには、強く磨くことよりも、優しく丁寧に、そして「やりすぎない」ことが重要です。適切な力の入れ方や歯ブラシの選び方、磨き方については、歯科医院で専門家のアドバイスを受けるのが最も確実な方法です。日々の歯磨き習慣を見直して、一生涯自分の歯で快適に過ごせるようにしましょう。
「歯磨きやりすぎ」が招く意外な落とし穴