上唇が腫れているだけでなく、口の中にも口内炎ができている…。そんな症状が同時に現れたら、何か関連があるのか、あるいは別の原因が潜んでいるのか、気になりますよね。上唇の腫れと口内炎が同時に起こる場合、いくつかの可能性が考えられ、中には注意が必要なケースもあります。まず、最も一般的なのは、口腔内全体の免疫力が低下している状態です。ストレス、疲労、睡眠不足、栄養不足(特にビタミンB群など)といった要因で体の抵抗力が落ちると、唇の粘膜も口の中の粘膜も弱くなり、外部からの刺激や細菌・ウイルスに対して脆弱になります。その結果、唇は腫れやすく、口の中にはアフタ性口内炎などができやすくなるというわけです。この場合、上唇の腫れと口内炎は、直接的な因果関係があるというよりは、共通の「免疫力低下」という土壌から発生した、それぞれ独立した症状と捉えることができます。次に、特定のウイルス感染症が原因である可能性も考えられます。「ヘルペス性歯肉口内炎」は、単純ヘルペスウイルス1型の初感染時に起こることが多く、高熱とともに歯茎の腫れや出血、そして口の中全体(唇、舌、頬粘膜、口蓋など)に多数の小さな水疱やびらん(口内炎様の症状)が出現します。唇も赤く腫れ上がり、非常に痛みが強いのが特徴です。また、「手足口病」や「ヘルパンギーナ」といった夏風邪のウイルス感染症でも、口の中や唇に水疱や潰瘍ができ、それに伴って唇が腫れることがあります。これらのウイルス感染症は、発熱や喉の痛みなど、全身症状を伴うことが多いです。アレルギー反応が広範囲に及んでいる場合も、上唇の腫れと口の中の違和感やヒリヒリ感(口内炎とは少し異なりますが)が同時に起こることがあります。例えば、「口腔アレルギー症候群」では、特定の果物や野菜を食べた後、唇や口の中、喉にかゆみや腫れ、イガイガ感などが現れます。重症なアレルギー反応(アナフィラキシー)の場合は、唇の腫れとともに、口の中の腫れ、喉の閉塞感、息苦しさといった危険な症状が出ることがあります。稀なケースですが、ベーチェット病などの全身性の炎症性疾患では、再発性の口内炎(アフタ性口内炎)が多発し、同時に唇にも炎症や腫れが見られることがあります。
上唇の腫れと口内炎、同時に起きたら要注意?