歯ぎしりや食いしばりによる顎の痛み、頭痛、肩こりなどに悩む人にとって、ボトックス注射は魅力的な治療法の一つとして近年注目されています。美容目的で知られるボトックスですが、筋肉の緊張を和らげる作用を利用し、食いしばりの原因となる咬筋(こうきん)の働きを弱めることで症状の改善を目指します。しかし、どんな治療法にもメリットとデメリットが存在します。ボトックスによる食いしばり治療を検討する際には、これらを十分に理解しておくことが重要です。まず、ボトックス治療の大きなメリットとしては、その直接的な効果が挙げられます。ボトックスを咬筋に注射することで、筋肉の過剰な収縮が抑制され、無意識に行っていた食いしばりの力が軽減されます。これにより、歯への負担軽減、顎関節症の症状緩和、エラの張りの改善(小顔効果)、頭痛や肩こりの軽減などが期待できます。また、マウスピースのように装着の手間や違和感がないため、日常生活への負担が少ない点もメリットです。治療時間も短く、ダウンタイムもほとんどないため、気軽に受けやすい治療と言えるでしょう。効果の持続期間は3ヶ月から6ヶ月程度ですが、繰り返し治療を行うことで、効果の持続期間が延びたり、必要なボトックスの量が減ったりする傾向もあります。一方、デメリットとしては、まず保険適用外の自由診療となるため、治療費用が比較的高額になる点が挙げられます。1回の治療で数万円程度の費用がかかることが一般的で、継続的な治療を考えると、経済的な負担は大きくなる可能性があります。また、効果の持続期間が限定的であるため、根本的な治癒ではなく、対症療法に近いという側面も理解しておく必要があります。効果が切れれば、再び症状が現れる可能性があるため、定期的な注射が必要となる場合があります。副作用のリスクもゼロではありません。注射部位の痛みや内出血、腫れなどが一時的に起こることがありますが、これらは数日で軽快することがほとんどです。稀に、ボトックスが咬筋以外の周囲の筋肉に影響を与え、一時的に笑顔が不自然になったり、口角が上がりにくくなったりする可能性も指摘されています。ただし、これらは経験豊富な医師が適切な部位に適量を注射することで、リスクを最小限に抑えることができます。また、ボトックスの効果の現れ方や持続期間には個人差があります。
ボトックスで食いしばり治療!メリット・デメリットを徹底比較