キッチンでお馴染みの重曹が、実は口腔ケアにも活用できることをご存知でしょうか。近年、手軽に試せるオーラルケアの一つとして「重曹うがい」が注目を集めています。重曹、すなわち炭酸水素ナトリウムは、弱アルカリ性の性質を持ち、私たちの口内環境に様々な良い影響を与える可能性が期待されています。まず、重曹うがいの代表的な効果として挙げられるのが、口臭予防です。口臭の主な原因の一つは、口腔内の細菌がタンパク質を分解する際に発生する揮発性硫黄化合物です。重曹のアルカリ性が、酸性に傾きがちな口腔内を中和し、細菌の活動を抑制することで、口臭の発生を抑える効果が期待できます。また、重曹には研磨作用があるため、歯の表面に付着した軽いステイン(着色汚れ)を落とすホワイトニング効果も一部で語られています。ただし、この研磨作用は歯のエナメル質を傷つける可能性もあるため、使用頻度や濃度には十分な注意が必要です。さらに、重曹は初期の虫歯予防にも役立つと考えられています。虫歯は、虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶かされることで進行しますが、重曹のアルカリ性がこの酸を中和し、歯の再石灰化を促す環境を整えるのに役立つとされています。しかし、重曹うがいは万能ではありません。正しい方法で行わないと、期待した効果が得られないばかりか、かえって口内トラブルを引き起こす可能性もあります。まず、使用する重曹は必ず食用のものを選びましょう。工業用の重曹は不純物が含まれている可能性があり、口に入れるのには適していません。次に濃度ですが、一般的にはコップ一杯(約100〜200ml)の水またはぬるま湯に対し、小さじ半分(約1〜2g)程度の重曹をよく溶かして使用します。濃度が高すぎると、粘膜を刺激したり、しょっぱすぎてうがいがしにくくなったりします。うがいの頻度も重要です。毎食後に行う必要はなく、1日に1〜2回程度、特に就寝前などが推奨されます。やりすぎは口腔内の常在菌のバランスを崩す可能性も指摘されています。