歯痛がひどくて頭痛までしてきた…そんな時に、市販の頭痛薬に頼る方も多いでしょう。しかし、歯痛に伴う頭痛の場合、薬選びにはいくつか注意点があります。まず、痛み止めの成分についてです。市販されている痛み止めの多くは、炎症を抑える成分(非ステロイド性抗炎症薬、NSAIDs)や、痛みの伝達をブロックする成分などが含まれています。歯痛も炎症を伴うことが多いので、NSAIDs系の成分(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)が含まれている薬は歯痛にも頭痛にも効果が期待できます。アセトアミノフェンも比較的穏やかな鎮痛効果があり、胃への負担が少ないという特徴があります。ただし、どの薬を選ぶかは、個人の体質や持病、服用している他の薬との飲み合わせなどを考慮する必要があります。特に、胃潰瘍や腎臓病、アレルギー体質のある方、妊娠中や授乳中の方などは、自己判断で服用せず、必ず薬剤師や登録販売者に相談してください。また、用法・用量を守ることが非常に重要です。痛みが強いからといって、規定量以上に服用したり、短い間隔で繰り返し服用したりすることは、副作用のリスクを高めるだけで、効果が著しく増大するわけではありません。漫然と長期にわたって服用することも避けるべきです。市販薬はあくまで一時的な痛みの緩和を目的としたものです。薬で痛みが和らいだとしても、それは根本的な治療ではありません。痛みの原因となっている歯のトラブルはそのまま放置されてしまいます。もし歯痛や頭痛が続く場合は、市販薬に頼り続けるのではなく、必ず歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしてください。市販薬は、歯科医に診てもらうまでのつらい時間を乗り切るための一時的な手段として活用しましょう。