食事中や会話中に、うっかり頬の内側を噛んでしまった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。そして、その数日後、噛んだ場所にズキッとした痛みが走り、鏡を見ると白い口内炎が…というのもよくあるパターンです。頬の内側は、歯に近接しているため、このように物理的な刺激を受けやすく、口内炎ができやすい代表的な場所の一つと言えます。頬の内側に口内炎ができる主な原因は、やはり「咬傷」です。慌てて食事をしたり、疲れていて咀嚼がうまくいかなかったりすると、誤って粘膜を噛んでしまうことがあります。また、歯並びが悪かったり、親知らずが変な方向に生えていたり、あるいは尖った歯や詰め物、合わない入れ歯や矯正装置があったりすると、慢性的に頬の粘膜を刺激し、口内炎を引き起こしやすくなります。熱い食べ物や飲み物による火傷も、頬の内側に口内炎を作る原因となります。これらの物理的な刺激に加えて、ストレスや疲労、睡眠不足、栄養の偏り(特にビタミンB群の不足)などが重なると、体の免疫力が低下し、粘膜の抵抗力も弱まるため、より口内炎ができやすく、また治りにくくなります。喫煙も、口腔内の血行を悪化させ、粘膜を乾燥させるため、口内炎のリスクを高める要因の一つです。頬の内側に口内炎ができてしまった場合、まずは患部を安静にし、刺激を与えないようにすることが大切です。食事の際は、反対側の歯でゆっくりと噛むように意識し、硬いものや刺激の強いもの(辛いもの、酸っぱいもの、熱すぎるもの)は避けましょう。柔らかく、消化の良い食事がおすすめです。口腔内を清潔に保つことも重要です。毎食後、丁寧に歯磨きを行い、うがいをしっかりとして食べカスなどが残らないようにしましょう。歯磨きの際は、患部に歯ブラシが強く当たらないように注意が必要です。市販の口内炎治療薬(軟膏、パッチ、スプレーなど)を使用すると、痛みを和らげ、治癒を早める効果が期待できます。