上顎洞炎が自然に治るケースと治療が必要なケースの見分け方
風邪をひいた後などに起こりやすい上顎洞炎。頬の奥の鈍い痛みや、色のついた鼻水、鼻詰まりといった症状が現れると、「これは自然に治るのだろうか、それとも病院へ行くべきか」と迷うことがあるかもしれません。確かに、上顎洞炎の中には自然に軽快するものもありますが、多くは適切な治療が必要となります。ここでは、自然治癒が期待できるケースと、医療機関での治療が必要となるケースの見分け方のポイントを解説します。まず、自然治癒が期待できる可能性があるのは、ごく軽症で一過性の場合です。例えば、風邪のひき始めや治りかけに、一時的に鼻の奥に違和感があったり、サラサラとした透明な鼻水が少量出たりする程度で、他に強い症状(頬の痛み、色のついた鼻水、発熱など)がない場合です。このような場合は、体の免疫機能が働き、ウイルスや細菌の増殖を抑え込み、数日から1週間程度で自然に症状が改善することがあります。十分な休息を取り、栄養バランスの取れた食事を心がけ、体を冷やさないようにするなど、一般的な風邪の対処法が有効です。特に、片側の頬だけに強い痛みがある場合は、歯が原因の「歯性上顎洞炎」の可能性もあり、この場合は歯科・口腔外科との連携も必要になります。また、過去に副鼻腔炎を繰り返している方や、アレルギー性鼻炎、喘息などの持病がある方も、症状が悪化しやすいため、早めの受診が賢明です。医師は、問診や鼻の中の視診、レントゲンやCT検査などを行い、炎症の程度や原因を正確に診断し、抗生物質の投与や鼻の処置など、適切な治療法を提案してくれます。早期発見・早期治療が、上顎洞炎の悪化や慢性化を防ぐ鍵となります。