上唇の腫れが数日経ってもなかなか引かない、あるいは一度引いたように見えてもまた腫れてくる…。そんな状況は、見た目の問題だけでなく、何か悪い病気ではないかと不安にさせられます。通常、軽い外傷や一時的なアレルギー反応による唇の腫れは、数時間から数日で自然に軽快することが多いですが、長引く場合にはいくつかの原因が考えられます。まず、アレルギー反応が持続している、あるいは繰り返し起こっている可能性があります。原因となるアレルゲン(食べ物、化粧品、薬剤、金属など)に気づかずに接触し続けている場合、腫れはなかなか引きません。特定のリップクリームを使い続けていたり、毎日同じものを食べていたりする場合など、生活習慣の中に原因が潜んでいることもあります。次に、感染症が治りきっていない、あるいは悪化しているケースです。例えば、口唇ヘルペスは、初期に適切な治療を行わないと、水ぶくれが破れた後に細菌感染を併発し、腫れや痛みが長引くことがあります。また、唇の傷口から細菌が入り込んで化膿し、炎症が深部まで及んでいる場合も、腫れはなかなか引きません。歯が原因となっている場合も、長引く腫れの原因となります。上の前歯の根の先に膿が溜まる「根尖性歯周炎」や、歯周病が進行した場合、その炎症が上唇の組織にまで波及し、腫れを引き起こすことがあります。この場合、原因となっている歯の治療をしなければ、唇の腫れも根本的には改善しません。稀なケースですが、「肉芽腫性口唇炎(にくげしゅせいこうしんえん)」という病気の可能性も考えられます。これは、原因不明の慢性的な唇の腫れを特徴とする疾患で、アレルギーや感染とは異なるメカニズムで起こるとされています。腫れは硬く、弾力性があり、数週間から数ヶ月、あるいはそれ以上続くこともあります。診断には専門医による診察と、場合によっては組織検査が必要になります。また、クローン病やサルコイドーシスといった全身性疾患の一症状として、唇の腫れが現れることもあります。これらの場合は、唇の腫れ以外にも、消化器症状や皮膚症状、眼症状など、他の部位にも症状が出ることが多いです。では、上唇の腫れが長引く場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。まず最も重要なのは、自己判断せずに医療機関を受診することです。皮膚科、アレルギー科、歯科・口腔外科などが主な受診先となります。
上唇の腫れが引かない…長引く原因と対処法は?