一度治ったはずの上顎洞炎が、またしばらくして再発してしまう…。そんな経験を持つ方もいらっしゃるかもしれません。繰り返す上顎洞炎は非常につらく、QOL(生活の質)を大きく低下させます。では、このように再発を繰り返す上顎洞炎も、その都度「自然に治る」ことを期待して良いのでしょうか。結論から言うと、上顎洞炎が再発を繰り返す場合、自然治癒を期待するのは難しく、むしろその背景にある根本的な原因を探り、適切な対策を講じる必要があります。なぜなら、再発を繰り返すということは、単に一時的な感染が起こっているだけでなく、上顎洞炎になりやすい何らかの素因や、炎症が完全に治りきっていない状態が潜んでいる可能性が高いからです。上顎洞炎が再発しやすい原因としては、いくつかのものが考えられます。これらの背景がある場合、たとえ一時的に症状が軽快したように見えても、根本的な問題が解決されない限り、上顎洞炎は再発を繰り返す可能性が高いです。そして、再発を繰り返すうちに、炎症は慢性化しやすく、粘膜の肥厚や線毛機能の低下などが進行し、ますます治りにくい状態になってしまいます。したがって、上顎洞炎が年に何度も再発する、あるいは一度治ってもすぐにぶり返すといった場合は、「また自然に治るだろう」と安易に考えるのではなく、耳鼻咽喉科の専門医に相談し、再発の原因を特定するための精密な検査(CT検査やアレルギー検査など)を受けることが重要です。原因に応じた適切な治療(アレルギー治療、鼻の構造を改善する手術、鼻ポリープの切除、歯性上顎洞炎の場合は歯科治療など)や、生活習慣の改善、免疫力を高めるための対策などを講じることで、再発の連鎖を断ち切ることが期待できます。