一度治ったはずの上唇の腫れが、しばらくするとまた同じように腫れてくる…。そんな経験はありませんか。上唇の腫れが繰り返し起こる場合、その背景には何らかの持続的な原因や、体質的な要因が隠れている可能性があります。単なる偶然として片付けず、原因を特定し、適切な予防策を講じることが、繰り返す腫れから解放されるための鍵となります。まず、上唇の腫れを繰り返す原因として最も考えられるのは、「アレルギー体質」と「原因アレルゲンへの継続的な接触」です。特定の食べ物(例えば、普段よく食べる果物やナッツ、あるいは気づいていない微量なアレルゲン)、日常的に使用している化粧品(リップクリーム、口紅、歯磨き粉など)、あるいは歯科治療で使われている金属などが原因アレルゲンとなっている場合、それに触れるたびにアレルギー反応が起こり、唇が腫れます。アレルゲンの特定が難しく、知らず知らずのうちに接触を繰り返しているケースも少なくありません。次に、「口唇ヘルペスの再発」も非常に多い原因です。口唇ヘルペスは、一度感染するとウイルスが体内の神経節に潜伏し、疲労やストレス、風邪、紫外線、生理前などで免疫力が低下した際に再活性化し、症状を繰り返します。年に何度も再発する人もいます。また、「生活習慣や癖」が原因で唇が荒れやすく、それが腫れにつながっている可能性もあります。例えば、唇を舐める癖、唇の皮をむく癖、あるいは乾燥した環境に長時間いる、水分摂取が少ないといったことは、唇のバリア機能を低下させ、外部からの刺激に弱くなり、炎症や腫れを引き起こしやすくします。歯ブラシの圧が強すぎたり、合わない歯磨き粉を使い続けたりすることも、慢性的な刺激となることがあります。稀なケースですが、「肉芽腫性口唇炎」という慢性的な唇の腫れを特徴とする疾患は、症状が寛解と増悪を繰り返すことがあります。