「最近、仕事が忙しくてストレスが溜まっているせいか、上唇が腫れてしまった…」そんな風に感じたことはありませんか。一見、直接的な関係がなさそうに思える「ストレス」と「上唇の腫れ」ですが、実は心と体の状態は密接に関連しており、ストレスが間接的に唇のトラブルを引き起こすことは十分に考えられます。では、ストレスはどのようにして上唇の腫れに関与するのでしょうか。まず、ストレスが長期間続くと、自律神経のバランスが乱れ、免疫機能が低下することが知られています。免疫力が低下すると、普段は何でもないようなわずかな刺激に対しても体が過敏に反応したり、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱まったりします。その結果、アレルギー反応が起こりやすくなったり、口唇ヘルペスが再発しやすくなったり、あるいは唇の傷口から細菌が感染しやすくなったりして、結果的に上唇の腫れという症状が現れることがあります。特に口唇ヘルペスは、疲労やストレスが引き金となって潜伏していたウイルスが再活性化する代表的な例です。また、ストレスはホルモンバランスにも影響を与えます。ホルモンバランスの乱れは、皮膚や粘膜の状態を不安定にし、バリア機能を低下させる可能性があります。これにより、唇が乾燥しやすくなったり、荒れやすくなったりし、外部からの刺激を受けやすくなって炎症や腫れが起こることが考えられます。さらに、ストレスを感じると、無意識のうちに唇を噛んだり、舐めたり、あるいは唇の皮をむしったりする癖が出てしまう人もいます。これらの行為は、唇に物理的な刺激を与え、傷や炎症を引き起こし、腫れの原因となります。また、ストレスによって食生活が乱れたり、睡眠不足になったりすることも、間接的に唇の健康に影響します。栄養バランスの偏り(特にビタミンB群やCの不足)や睡眠不足は、皮膚や粘膜の修復機能を低下させ、口内炎や唇の荒れ、そして腫れを招きやすくします。ただし、ストレスが直接的に上唇を腫れさせるというよりは、ストレスが引き金となって上記のような様々な要因が複合的に絡み合い、結果として唇に症状が現れる、と理解するのが適切でしょう。もし、ストレスを感じている時期に上唇の腫れが起こった場合は、まず腫れの原因がアレルギーや感染症など、具体的な疾患によるものでないかを確認するために、医療機関を受診することが大切です。
上唇の腫れはストレスが原因?心と体のつながり