手軽で経済的なオーラルケアとして、重曹うがいが静かなブームとなっています。スーパーや薬局で簡単に手に入る食用の重曹を使って、口内環境を整えることができると聞き、興味を持つ方も多いのではないでしょうか。では、重曹うがいには具体的にどのようなメリットがあり、どのように実践すれば良いのでしょうか。まず、重曹うがいの最大のメリットの一つは、そのアルカリ性による口腔内の中和作用です。食事をすると、口腔内は酸性に傾きがちになります。この酸性の状態が続くと、虫歯菌が活発になりやすく、歯のエナメル質が溶け出す「脱灰」が進んでしまいます。重曹うがいは、この酸性に傾いた口腔内を弱アルカリ性に戻すことで、虫歯菌の活動を抑制し、歯の再石灰化を促す環境を作る手助けをします。また、口臭予防効果も期待できます。口臭の原因となる細菌の繁殖を抑えたり、食べカスなどの分解を助けたりすることで、気になる臭いを軽減する効果が報告されています。さらに、重曹には軽い研磨作用があるため、歯の表面に付着した茶渋やコーヒーなどによるステインを落とし、歯を白く見せる効果も一部で期待されています。ただし、この研磨作用については、歯や歯茎を傷つけないよう注意が必要です。実践方法は非常に簡単です。まず、食用の重曹を用意します。工業用や掃除用のものは絶対に使用しないでください。次に、コップ一杯(約100ml~200ml)の水またはぬるま湯に、小さじ半分(約1g~2g)程度の重曹を入れ、よくかき混ぜて溶かします。この重曹水を口に含み、30秒ほどブクブクと口全体に行き渡らせるようにうがいをします。特に、歯間や歯周ポケットなど、汚れが溜まりやすい部分を意識すると良いでしょう。うがい後は、水で口をすすぐ必要はありませんが、しょっぱさが気になる場合は軽くすすいでも構いません。頻度としては、1日に1~2回、特に就寝前に行うのが効果的とされています。ただし、重曹うがいはあくまで補助的なケアです。毎日の丁寧な歯磨きやデンタルフロスの使用、そして定期的な歯科検診の代わりにはなりません。また、濃度が高すぎたり、頻度が多すぎたりすると、口腔内の粘膜を刺激したり、必要な常在菌まで減らしてしまったりする可能性もあるため、適度な使用を心がけましょう。ご自身の口腔内の状態に合わせて、上手に取り入れてみてください。