上顎洞炎の症状が出始めたとき、「病院へ行くほどでもないかな」「少しでも自分で症状を和らげたい」と思うことがあるかもしれません。確かに、ごく軽度の上顎洞炎であれば、体の免疫力を高め、適切なセルフケアを行うことで、自然治癒を後押しできる可能性があります。ただし、これらのセルフケアはあくまで補助的なものであり、症状が強い場合や長引く場合は、必ず医療機関を受診することが前提です。では、上顎洞炎の自然治癒を助けるために、自分でできることにはどのようなものがあるのでしょうか。まず最も大切なのは、十分な休息と睡眠を確保することです。疲労や睡眠不足は免疫力を低下させ、炎症を悪化させる原因となります。体をゆっくり休ませ、免疫細胞が活発に働けるように環境を整えましょう。次に、栄養バランスの取れた食事を心がけることです。特に、ビタミンCやビタミンAは粘膜の健康を保ち、免疫力を高める効果が期待できます。野菜や果物を積極的に摂取し、消化の良い温かい食事を摂るようにしましょう。水分補給も重要です。こまめに水分を摂ることで、鼻や喉の粘膜を潤し、線毛運動(異物を体外に排出する働き)を助けます。また、鼻水が硬くなるのを防ぎ、排出しやすくする効果もあります。白湯やハーブティーなどがおすすめです。鼻のケアとしては、まず室内環境を整えることが挙げられます。空気が乾燥していると、鼻の粘膜も乾燥し、炎症が悪化しやすくなります。加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、適切な湿度(50~60%程度)を保つようにしましょう。また、鼻を温めることも有効です。蒸しタオルを鼻の付け根や頬に当てると、血行が促進され、鼻の通りが良くなったり、痛みが和らいだりすることがあります。ただし、炎症が強い場合は逆効果になることもあるので、気持ちが良いと感じる程度に留めましょう。鼻うがいも、鼻腔内のウイルスや細菌、アレルゲン、膿などを洗い流し、粘膜を清潔に保つために有効な方法です。市販の鼻うがいキットや、生理食塩水(体液に近い塩分濃度の水)を使って、正しい方法で行いましょう。