ある日突然、片側の喉と歯に同時に痛みが現れると、何が原因なのかと不安になりますよね。食事をするのも、話すことさえ辛く感じることもあります。このような片側だけに限定された喉と歯の痛みは、いくつかの異なる原因によって引き起こされる可能性があります。まず考えられるのは、歯や歯茎の問題が喉に影響を及ぼしているケースです。代表的なものとしては、親知らずの炎症、いわゆる智歯周囲炎が挙げられます。特に下の親知らずが斜めに生えていたり、埋まっていたりすると、その周囲に細菌が感染しやすく、炎症が起こります。この炎症が進行すると、顎の下や首のリンパ節が腫れ、喉の痛みとして感じられることがあります。また、虫歯が進行して歯の神経まで達した場合や、歯周病が悪化した場合も、その痛みが片側の喉や顎に放散することがあります。次に、喉の炎症が歯に影響を与えている可能性も考慮しなければなりません。片側の扁桃炎や咽頭炎がその例です。細菌やウイルスの感染によって片方の扁桃腺や喉の奥が強く炎症を起こすと、その痛みが耳や同じ側の歯にまで関連痛として広がることがあります。この場合、発熱や倦怠感といった全身症状を伴うことも少なくありません。さらに、副鼻腔の一つである上顎洞の炎症、いわゆる上顎洞炎も片側の歯と喉の痛みを引き起こすことがあります。特に、上の奥歯の根の先端が上顎洞に近い場合、歯の感染が上顎洞に波及して炎症を起こす「歯性上顎洞炎」という状態になると、頬の痛みや鼻詰まりと共に、同じ側の歯や喉にも痛みを感じることがあります。その他にも、三叉神経痛のような神経系の問題や、顎関節症、稀ではありますが耳鼻咽喉科領域の腫瘍などが、片側の喉と歯の痛みの原因となることもあります。このように、片側の喉と歯の痛みには様々な原因が潜んでいる可能性があるため、自己判断は禁物です。痛みが続く場合や、悪化する傾向が見られる場合は、早めに歯科、口腔外科、あるいは耳鼻咽喉科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。専門医による適切な検査と治療によって、不快な症状から解放され、安心して日常生活を送ることができるようになるでしょう。