歯ぐきに気になる症状が見られた場合、歯科医院ではどのように歯肉癌を診断するのでしょうか。自己判断が難しいため、専門医による正確な診断が不可欠です。歯科医院を受診すると、まず歯科医師が問診を行います。いつから症状があるのか、痛みはあるか、大きさの変化はどうか、喫煙歴や飲酒歴はあるかなどを詳しく尋ねられます。次に、視診と触診が行われます。鏡を使ってお口の中全体の状態、特に気になる箇所の色、形、大きさ、ただれの有無などを詳しく観察します。そして、指で触って硬さやしこりの有無、動くかどうかなどを確認します。これらの診察で歯肉癌が疑われる場合、さらに詳しい検査が行われます。最も重要かつ確定診断のために行われるのが「生体検査(バイオプシー)」です。これは、病変の一部を小さく切り取り、顕微鏡で詳しく調べる検査です。この検査によって、病変が悪性(癌)なのか、それとも良性の病変なのかを正確に診断することができます。生体検査は通常、局所麻酔をして行うため、痛みはほとんどありません。また、歯肉癌の広がりや顎の骨への浸潤の有無、リンパ節への転移の有無などを調べるために、レントゲン検査、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像診断)などの画像診断が行われることもあります。これらの検査を組み合わせて行うことで、病気の正確な診断と進行度(ステージ)を判断し、適切な治療計画を立てることが可能になります。歯ぐきの異常に気づいたら、怖がらずにまずは歯科医院を受診しましょう。専門医の診断を受けることが、早期発見、そして適切な治療への最も確実なステップです。