唇がカサカサになったり、皮がむけたりするのは、単なる乾燥や外部刺激だけでなく、実は体からの栄養不足を知らせるSOSサインである可能性があります。唇の皮膚は非常に薄くデリケートで、体の栄養状態が顕著に現れやすい部位の一つです。特定の栄養素が不足すると、唇の健康が損なわれ、乾燥や荒れといったトラブルが起こりやすくなるのです。では、具体的にどのような栄養素が唇の健康に関わっているのでしょうか。まず、最も重要とされるのが「ビタミンB群」です。特に、ビタミンB2(リボフラビン)は「皮膚や粘膜のビタミン」とも呼ばれ、細胞の再生を助け、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。ビタミンB2が不足すると、口角炎(唇の両端が切れる症状)や口唇炎(唇全体の炎症)が起こりやすくなり、唇のカサカサやひび割れの原因となります。ビタミンB6(ピリドキシン)も、タンパク質の代謝に関わり、皮膚や粘膜の健康維持に不可欠です。不足すると、口内炎や口唇炎を引き起こすことがあります。これらのビタミンB群は、レバー、うなぎ、乳製品、卵、納豆、緑黄色野菜などに多く含まれています。次に、「ビタミンC」も重要です。ビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、皮膚のハリや弾力を保つ働きがあります。また、抗酸化作用があり、紫外線などによるダメージから皮膚を守る効果も期待できます。ビタミンCが不足すると、皮膚の抵抗力が弱まり、唇が荒れやすくなったり、治りにくくなったりします。「ビタミンE」も、強力な抗酸化作用を持つビタミンで、「若返りのビタミン」とも呼ばれます。血行を促進し、皮膚の新陳代謝を高める効果があるため、唇の乾燥やくすみの改善に役立ちます。ビタミンCやEは、果物(特に柑橘類やベリー類)、野菜(パプリカ、ブロッコリーなど)、ナッツ類、植物油などに多く含まれています。さらに、「鉄分」の不足も、間接的に唇の乾燥に関わることがあります。鉄分が不足すると貧血になりやすく、血行が悪くなるため、皮膚や粘膜に十分な酸素や栄養が行き渡りにくくなります。その結果、唇の色が悪くなったり、乾燥しやすくなったりすることがあります。