口内炎にできた白い膜、いわゆる偽膜が剥がれたら、それは治癒のサインなのでしょうか。多くの場合、これは良い兆候と言えますが、必ずしも「完全に治った」とは限りません。まず、この白い偽膜は、炎症によって傷ついた粘膜を保護し、その下で新しい粘膜が再生されるのを助ける役割をしています。治癒が進むにつれて、この偽膜は徐々に小さく薄くなり、最終的には自然に剥がれ落ちます。そして、その下には新しいピンク色の健康な粘膜が現れます。この段階に至れば、痛みもほとんど感じなくなり、食事や会話も普段通りに行えるようになるでしょう。ですから、白い膜が自然に剥がれ落ち、その下の粘膜が健康な状態に戻っていれば、それは治癒が順調に進んでいる証拠であり、完治に近い状態と言えます。しかし、注意が必要なケースもあります。例えば、まだ治癒過程の途中で、何らかの刺激(食事、歯ブラシなど)によって偽膜が意図せず剥がれてしまうことがあります。この場合、下にある再生中のデリケートな粘膜が露出し、再び痛みが出たり、治癒が遅れたりする可能性があります。また、偽膜が剥がれたように見えても、まだわずかに炎症が残っていたり、粘膜が完全に修復されていなかったりすることもあります。この状態で油断して刺激の強い食事を摂ったり、口腔ケアを怠ったりすると、症状がぶり返すことも考えられます。したがって、白い膜が剥がれた後も、数日間は注意深く様子を見ることが大切です。患部にまだ赤みが残っていないか、触れてみて痛みや違和感がないか、食事の際にしみたりしないかなどを確認しましょう。これらの症状が全てなくなり、見た目も他の健康な粘膜と変わらない状態になって初めて、「完治した」と判断できます。もし、白い膜が剥がれた後に再び痛みが出てきたり、赤みが増したり、あるいはなかなかスッキリと治らない場合は、他の原因が隠れている可能性も考えられます。