歯の痛みが頭痛を引き起こすことがあるのをご存知でしょうか。多くの場合、頭痛は肩こりや眼精疲労、ストレスなどによって起こると考えられがちですが、意外なことに歯や口の中のトラブルが原因となっているケースも少なくありません。特に虫歯や歯周病による強い痛み、あるいは親知らずの炎症などが、関連痛として頭部に放散し、頭痛として感じられることがあります。これは、顔面や口腔、頭部には三叉神経と呼ばれる大きな神経が分布しており、この神経を通じて痛みの情報が伝達されるためです。例えば、歯の神経が炎症を起こすと、その痛みが同じ三叉神経の支配領域であるこめかみや額、頬などに広がり、ズキズキとした頭痛として感じられることがあります。また、噛み合わせの異常や顎関節症も、顎周辺の筋肉の緊張を引き起こし、それが頭部や首筋の痛みに繋がり、頭痛として現れることがあります。歯痛に伴う頭痛は、片側だけに現れることが多く、痛む側の歯に原因がある場合が多いと言われています。しかし、必ずしも痛む歯と同じ側の頭痛とは限りません。放置してしまうと、原因となっている歯の状態が悪化するだけでなく、頭痛も慢性化してしまう可能性があります。市販の鎮痛剤で一時的に痛みを和らげることはできますが、根本的な解決にはなりません。歯痛と頭痛が同時に起こる場合は、まず歯科医院を受診し、歯や顎に原因がないか確認することが非常に重要です。歯科医師に現在の症状(歯の痛みの場所や種類、頭痛の場所や頻度など)を詳しく伝え、適切な診断と治療を受けることが、つらい痛みを解消する第一歩となります。