あらゆる口臭対策を試し、歯科医院でも「問題ありません」と言われた。それなのに、「自分は臭いのではないか」という不安から、どうしても逃れられない。そんな、目に見えない口臭との戦いに、心をすり減らしていませんか。実は、口臭対策において、口腔ケアと同じくらい、いや、それ以上に重要となるのが、「メンタルケア」です。過度な「気にしすぎ」は、かえって口臭を悪化させる、という負のスパイラルを生み出してしまうのです。この、客観的には口臭がないにもかかわらず、自分には強い口臭があると信じ込んでしまう状態を、「自臭症(じしゅうしょう)」と呼びます。これは、最強の口臭対策を求めるあまり、多くの人が陥ってしまう、心の罠なのです。この罠から抜け出すための、メンタルケアのポイントを、いくつかご紹介します。まず、第一に、「客観的な事実を受け入れる」ことです。口臭測定器のある歯科医院(口臭外来など)で、自分の口臭レベルを、客観的な「数値」として測定してもらいましょう。そして、医師から「問題ないレベルです」と診断されたなら、その事実を、まずは信じてみることです。あなたの感覚ではなく、科学的なデータを、判断の基準にするのです。第二に、「完璧主義をやめる」ことです。人間である以上、完全に無臭でいることは不可能です。朝起きた時や、空腹時には、誰でも、ある程度の生理的口臭は発生します。その、ごく自然なニオイまでを、ゼロにしようとすることは、自分自身を追い詰めるだけです。100点満点を目指すのではなく、「日中のコミュニケーションで、相手に不快感を与えないレベル」であれば、それで合格、と考える、心の余裕を持ちましょう。第三に、「意識を外に向ける」ことです。口臭のことを考えれば考えるほど、不安は増大し、唾液も出にくくなります。人と話す時は、自分の口臭のことではなく、相手の話の内容や、会話そのものを楽しむことに、意識を集中させてみましょう。何かに夢中になっている時は、口臭のことなど、忘れているはずです。そして、最後に、もし、どうしても不安が拭えない場合は、一人で抱え込まず、信頼できる家族や友人に、勇気を出して、「本当に私の口、臭うかな?」と、聞いてみるのも一つの手です。