コンポジットレジンは優れた歯科材料ですが、永久的なものではなく、時間の経過と共に劣化します。このレジンの劣化も、二次う蝕のリスクを高める要因の一つとなります。口腔内は、飲食による温度変化、噛む力による摩擦、唾液による化学的な影響など、非常に過酷な環境です。コンポジットレジンは、このような環境に常にさらされているため、使用しているうちに少しずつ性質が変化していきます。具体的には、レジンの表面が摩耗してすり減ったり、細かい傷がついたりします。レジンはプラスチック成分を含んでいるため、水分を吸収して変色したり、コーヒーや紅茶、カレーなどの色素を取り込んで着色したりもします。表面がざらついたり、傷がついたりすると、そこにプラーク(歯垢)が付着しやすくなります。プラークの中には虫歯菌がたくさん含まれており、この細菌が作る酸によって歯が溶かされます。特に、劣化したレジンの表面や、傷ついた部分にプラークが溜まると、その下や周りの歯質が虫歯になりやすくなります。また、レジンがすり減ることで、噛み合わせが変わってしまったり、レジンと歯の境目に段差ができたりすることもあります。このような段差もプラークが溜まりやすく、二次う蝕の原因となります。コンポジットレジンの寿命は、詰めた場所や大きさ、かみ合わせ、日々のケアなどによって異なりますが、一般的には数年から10年程度と言われています。レジンが劣化してきたサインとしては、詰め物の変色、表面のざらつき、欠けや割れ、歯との境目の変色(黒ずみなど)などが挙げられます。これらのサインに気づいたら、早めに歯科医院を受診し、詰め物の状態をチェックしてもらうことが大切です。必要であれば詰め物をやり替えることで、二次う蝕を予防することができます。