口内炎が治りかけの時期に、痛みは引いてきたけれどなんだかムズムズする、かゆいような違和感がある、という経験はありませんか。これは決して珍しいことではなく、傷が治癒する過程でしばしば見られる現象の一つです。皮膚の傷が治りかけにかゆくなるのと同じように、口腔内の粘膜も修復が進むにつれて、そのような感覚が生じることがあります。このかゆみは、炎症が収まり、新しい組織が再生され、神経線維が再構築される過程で起こると考えられています。ヒスタミンというかゆみを引き起こす物質が関与しているとも言われています。痛みが主だった症状から、かゆみや違和感へと変化するのは、回復が順調に進んでいる証拠と捉えることもできます。しかし、このかゆみが気になって舌で触ったり、指でいじったりしてしまうと、せっかく治りかけている患部を再び傷つけてしまい、治癒を遅らせたり、細菌感染のリスクを高めたりする可能性があります。では、この治りかけのかゆみにどう対処すれば良いのでしょうか。まず大切なのは、できるだけ患部を刺激しないことです。無意識に舌で触ってしまう癖がある人は、特に意識して避けるようにしましょう。冷たい水で口をすすぐと、一時的にかゆみが和らぐことがあります。ただし、氷を直接当てるなど、極端な冷却は粘膜に負担をかける可能性があるので注意が必要です。また、口腔内を清潔に保つことも重要です。食後は丁寧にうがいをし、食べカスなどが残らないようにしましょう。刺激の少ないうがい薬を使用するのも良いでしょう。保湿もかゆみ対策の一つとして考えられます。口腔内が乾燥すると、かゆみを感じやすくなることがあります。こまめに水分を補給し、部屋の湿度にも気を配ると良いかもしれません。それでもかゆみが我慢できない場合や、かゆみ以外にも気になる症状がある場合は、自己判断せずに歯科医師や医師に相談することをおすすめします。
口内炎治りかけ特有のかゆみと対策